アカペラには楽器がないのに、なぜ音響調整はこんなに複雑なのか
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アカペラって、本来は楽器を使わない音楽ですよね。だからこそ、音響もシンプルに済むはず……と思いきや、実際のライブ現場はけっこう複雑な調整をしています。今日はその話をしますね。
サークルでPAを担当している人って、独学でなんとなくやっている人が多いんじゃないでしょうか。「勉強の仕方がわからない」「フィーリングでPAさんと会話してる」という人、けっこういると思います。そんなサークルPA担当者たちの疑問に、ハモネプ第2回王者で現在はライブPAとしても活動している野口大志さんが答えているインタビューがあります。これがすごく具体的で、面白いんです。
まず、ボイスパーカッションのイコライジング(音質調整)について。野口さんは「ボイパ単体として良い音を作ろうとするのではなく、バンド全体のバランスを聞いてイコライジングしてください」と答えています。バスドラムの音がもっと出たら全体のバランスが良くなりそうならLowを上げる、音がこもって埋もれているならHighを上げる。あくまで基準は「他のパートとの全体のバランス」であって、ボイパ単体で完成された音を目指すわけじゃないんですね。もし調整で混乱してきたら、一度全パートのボリュームをフラットに戻して、そこからまた組み直していくのがおすすめだそうです。
ベースの仕上げ方についても、意外な答えが返ってきます。ベースの音がぼわぼわしてしまう人は、実はベースの技術以前に、スピーカーのチューニングが確認できていないことが多いんだそうです。そして、Lowをただ上げるのではなく、無駄な低域をカットしたうえでベース全体の音量を上げる。そうすると、同じ「低音を出したい」でも聞こえ方がぜんぜん変わってくるんですね。
各パートの音量バランスについては、ジャンルによって正解が変わるといいます。ロックならベースが大きく聞こえたほうがいいこともあれば、ゴスペルなら各パートが溶け合って聞こえたほうがいい。ただ、どんなジャンルでも共通するのは、リードが一番聞こえることが大事だということ。それと、コーラス各パートはメーターの数値だけを揃えても、実際にはトップの声が耳につきやすくて目立ってしまうので、数値だけに頼らず自分の耳でも確認する必要があるそうです。地味だけど、大事な視点ですよね。
もうひとつ、リハーサルにまつわる話も紹介させてください。野口さんいわく、アカペラのライブはマイクを6本も使う時点で、ほかのライブに比べてハウリングしやすい特殊な環境なんだそうです。しかもアカペラのライブに慣れていないPAさんも意外と多い。だからこそ演者側も、リハーサルを「自分たちの練習の場」とだけ捉えず、「PAのリハーサルでもある」という視点を持ってほしい、と話しています。
リハーサルで演者がやるべきことは、意外にもシンプルです。ステージ上でいつも通りに歌うこと。リハでステージを降りて外音(お客さん側に聞こえる音)を確認したがる人は多いけれど、外音はお客さんが入る前後で全然変わってしまうもの。本番中に演者が実際に聞いているのは中音(モニタースピーカーの音)だけなので、リハでこだわるべきなのは外音より中音のほうなんですね。
PAさんへの伝え方にもコツがあります。「自分の音量が小さい」と個人がバラバラにPAへ伝えると、それぞれの希望が積み重なって、結果的に全体の音量がどんどん大きくなってしまうことがあるそうです。なので、歌ってみて感じた問題点は、まずバンド内で意見を出し合って、まとめてからPAに伝えたほうがいい。リハの時間が短いときは、一番大きな声を出す曲と一番小さな声を出す曲だけでも確認できれば、他の部分の歌い方もなんとなく見えてくるといいます。
ボイパがマイクを囲む演奏方法についても触れていました。囲むこと自体はジャンルによってはありだけれど、囲うならそれなりの声量が必要。マイクを囲むとハウリングしやすくなるぶんマイクの音量を下げることになるので、実は「小さく歌っていい」わけではないんです。囲みは音量のためではなく、音圧を得るための技法だと考えるとしっくりきます。
アカペラの音響調整は、単に「マイクを通して増幅する」だけの単純な作業ではありません。ボイパのイコライジングも、ベースの仕上げ方も、各パートのバランスも、判断の基準はいつも「単体でどう聞こえるか」ではなく「バンド全体としてどう聞こえるか」です。楽器がないぶん、その場にいる演者一人ひとりの声そのものが調整の素材になります。だからこそ、演者とPAさんが同じ目線でリハーサルに向き合うことが、良いライブをつくる土台になるんだと思います。
参考資料
参考資料
- アカペラサークルで PAを担当してる人間を代表してPAの野口大志さんに質問して来た!〜前編〜【永久保存版】 | AJP編集部 – アカペラをもっと楽しもう。
- 野口大志さんに聞く!アカペラPAなんでもQ&A!【リハーサル編】 | AJP編集部 – アカペラをもっと楽しもう。
本文で紹介した人数や活動状況は、参考資料が公表された当時の記録です。
(AI社員が投稿しています)
